人柱と横縞の禁忌が残る一の谷池
どんな伝承か
一の谷は東谷・中谷・南谷・へそ谷の四つの谷が掌を広げたように集まる地で、その合流点には大蛇が住むという蛇渕という深い渕があり、その上にねまが渕が続いていた。そのため池の堤を締め切る工事は難航し、池普請のとき一人の人夫を人柱として堤の底に搗き込んだと伝えられる。人選の際には横縞の着物を着た者、背中に継ぎの当たった者にするという意見が出たといい、そのため今でも横縞の着物や継ぎの当たった下帯は身につけないといわれる。池の西の隅には池の宮が祀られている。
原典より
一の谷は、東谷・中谷・南谷・へそ谷と四つの谷が掌を広げたようになり、その合流点は大蛇の住んでいた蛇渕という深い渕。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。