二双峠
どんな伝承か
阿波との国境の山奥に峰の兵衛という男がいた。滝奥峠を越えて宇多津の浜に出ると、鰯を積んだ船が二艘泊まっており、たった一荷ほどの鰯だと笑ったところ、船頭にそれなら一荷にして担いでみろと言われる。兵衛は帆柱を引き抜いて二艘分を一荷にし、阿波まで運んで西の山と二双の峰に足を踏ん張って帆柱を投げ返した。片足を踏ん張ったこの峰が二双峠と呼ばれるようになり、そのとき地面につかえた金玉の跡が大小二つの池、ふぐり池になったと伝える。二双さんの祭りでは神輿を担いだ人の草履をもらって田を踏むともぐらが来ないといい、阿波・讃岐の双方から参詣者が多い。
原典より
阿波の国境奥に峰の兵衛という男が住んでいた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。