奇石に宿り大洗磯前に現れた二神
どんな伝承か
古い伝えでは、大国主と少彦名の二神は力を合わせて国土を整えただけでなく、人や家畜のために病を治す方法や、鳥獣や虫の害を払うまじないの法を定め、酒造りの神ともあがめられた。平安時代の斉衡三年、この二神が茨城県の大洗磯前の海辺に、不思議な石に宿って姿を現した。そのとき朝廷はこの神の社に薬師菩薩神社という号を贈ったという。著者はこれを、生活の技を人に教えた神々への信仰が長く民間に生きていた証としている。
原典より
そして斉衡三年(八五六)、この二神が茨城県の大洗磯前に奇石について出現した際には、朝廷はこの神の社に薬師菩薩神社の号を奉っている。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。