同族の神を祀る森モリサマ
どんな伝承か
神霊は特定の叢林に宿ると古くから信じられ、社殿以前の素朴な同族神・屋敷神の祭りは、屋敷付近の古木や樹叢を神の憑座とした。奈良県吉野郡賀名生村や山口県小野田市あたりで「モリサマ」と呼ぶのは、いずれも旧家の先祖や同族の神を祭った樹叢である。『万葉集』が神社をモリと読ませるように、神の宿りを叢林にみる信仰は古今に広い。
原典より
山陰地方の荒神ブロや山梨県のミョウジカケバ、奈良県吉野郡賀名生村(現・西吉野村)・山口県小野田市あたりのモリサマなどは、いずれも旧家の先祖や同族の神を祭った樹叢であるが、古く『万葉集』に神社をモリと読ませ、…—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。