朝倉山から喪儀を見下ろす笠の鬼
どんな伝承か
斉明天皇七年の夏五月、天皇は朝倉に移り住んだが、宮殿を建てるために社の木を伐ったので神の怒りに触れ、宮殿は壊れ、舎人や近侍の者が大勢病死した。天皇自身もその年の七月に朝倉宮で崩御した。日本書紀によれば、八月一日、皇太子が天皇の亡骸を奉じて磐瀬宮へ戻ったその夕べ、朝倉山の上に大きな笠をかぶった鬼が現れ、喪の儀式をじっと見下ろしていたという。この御代にはたびたび鬼や鬼火が現れたとされる。
原典より
七年の夏五月、天皇は居を朝倉に遷させられたが、この折、社木を伐つて宮殿を造られたので神の怒りに觸れ宮殿は壊れ、…—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。