帳場に積まれる御供物の菓子箱
どんな伝承か
山口県佐波郡の奥地にある柚野村のことを記した松岡利夫氏の『柚野民俗誌』には、葬儀の盛大さを示す贈り物の例が載っている。一般の会葬者は香奠のほかに、御供物と称して十円ほどを入れた菓子箱を持って行き、この御供物が受付の帳場に多く積まれるほど立派な葬式だとされた。大戦中に菓子箱がなくなると、組内で箱をこしらえて持ち回したという。組内の者はさらに米一斗を持参し、親が亡くなった場合には子たちが供物として米を二俵持って行った。この俵が多く積まれるほど立派な葬式と評判されたという。
原典より
八 半檀家制について九 房州天津の半檀家ならびに男女別墓制十 葬送習俗に関する二、三の疑義について十一 百ヶ日参り十二 盆における無縁仏の取り扱い十三 盆の祭り十四 高野の大施餓鬼十五 葬儀における水汲み十六 葬儀に見ら…—— 霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。