密葬の後に営むからだびの葬礼
どんな伝承か
十九世紀初頭、儒者橋本橘窓は随筆『橘窓自語』に、丹波国亀山の村々では死者を密葬した後にあらためて葬礼を行う風習があり、これを「からだび」と呼んだと記した。空荼毘の意だという。ある旧家では、葬儀の途中に俄かに空がかき曇り、火車が現れて棺の遺体をさらったという伝説が語られ、それゆえこの風習の存在を今なお口にしたがらない家もあるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。