桟俵の飯を川へ流すオセガキ
どんな伝承か
山梨県南巨摩郡南部町では、ナギタイマツと呼ぶ火祭が今も盛んに行われている。その奥地の本郷部落では、麦稈を積み上げて燃やす火祭に先立ち、八月十四日にオセガキを行う。桟俵に炊いた飯を盛り、そこへ各戸から一本ずつ旗を立てたものを、川へ流すのである。これは無縁仏をまつる行事だといわれる。盆の火祭には、供養する者のない霊や非業の死をとげた霊を弔うものが少なくないとして、著者が各地の例と並べて挙げたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。