小判を鶴に投げた炭焼松五郎と皇女
どんな伝承か
富士の裾野で炭を焼く松五郎の煙が高く立ちのぼり、京からも見えたので、天子が陰陽師に占わせると、その煙の主が皇女の婿になる者だという。姫は煙をたよりに裾野を訪ねたが、松五郎は郷里の明見に帰っており、留守居の言葉を聞き違えて二度も無駄足を踏んだ。三日目にようやく会い、貧しさを見かねて小判二枚を贈ると、松五郎は価値を知らず、池に浮かぶ二羽の鶴に投げつけた。二人は夫婦となり、のちに姫の遺した瓔珞の冠から瓔珞つつじが咲いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。