おとうかっ火
どんな伝承か
埼玉県の和田吉野川や滑川の万五郎稲荷周辺で、特に田植の季節や春の小雨の夜に、頭が丸く尾を引いた青い光が地上数メートルの高さを飛び交う現象が目撃されていた。この光を「おとうかっ火」と呼び、地元民は狐の仕業と考えていた。冬枯れの季節に複数の光が長く続いて点滅する現象は「狐のお嫁入り」と呼ばれた。こうした奇現象は、中国から伝わった狐や狸が人を化かすという古い信仰が背景にあり、その不可思議さが伝説として語り継がれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市が編んだ市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。各話は会話を交えた語り口に書き直され、多くの話の末尾に〔 〕で由緒や文献上の注を添える。