ざきっこ婆さん
どんな伝承か
埼玉県東松山市の箭弓町にあった桑畑と小川のほとりで、月のない暗い夜間に、白い着物を着た痩せ衰えた老婆が小豆を磨く音が聞かれた。通りかかった人が覗き込むと、骨と皮のようにやせた顔で、目は輝き、赤い口が耳まで裂けた恐ろしい姿をしていたため、その人は驚いて逃げ去った。この老婆は箭弓神社の白狐が変身した姿だったとされている。小豆を磨く老婆の怪談は全国に類例があるが、米や麦ではなく小豆である理由は定かではない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市が編んだ市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。各話は会話を交えた語り口に書き直され、多くの話の末尾に〔 〕で由緒や文献上の注を添える。