利仁神社の枕石
どんな伝承か
埼玉県東松山市の利仁神社は、藤原利仁を祀る神社である。地元の伝承では、利仁が賊討伐時に陸稲畑で転倒し、陸稲の葉で片眼を傷つけたため、その恩義に感謝して以来、下野本村では陸稲を作らなくなったとされている。また麻疹が流行する季節に、神社の庭の小石をお守りとして借り、子どもの帯に付けると罹患を防いだり軽症で済むという信仰があった。神社に保管されていた「枕石」は、見ると罰が当たり眼が潰れるという禁忌を持ちながらも、実際には歴史記録によると藤原利仁は915年に武蔵守として赴任し、賊討伐の功績があり、921年に没後に社として祀られたことが確認される。醍醐天皇が延長5年に麻疹で苦しんだ際、利仁社に奉幣を祈願したという記録も残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市が編んだ市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。各話は会話を交えた語り口に書き直され、多くの話の末尾に〔 〕で由緒や文献上の注を添える。