人吉の山ン太郎と堤の足跡
どんな伝承か
肥後の人吉付近では、山ン太郎は山の神だといい、山神の祭文には、近山・中山・奥山の山太郎が三千三百三十三ずつ、合わせて一万に一つ足りない山太郎が、山で働く人々の願いをかなえると唱えられている。冬の間だけ川太郎が山に入って山太郎になるという話もあり、二月一日の朝早く用水堰の堤に行くと、必ず川太郎の足跡がたくさんあったという。三本の長い指のすぐ後ろにかかとの跡があるだけで、鳥の足跡のようだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。