加納の天神さま
どんな伝承か
昔、村はずれに天神社があり、杉の大木が何十本も立つ森に囲まれて、村人の信仰を集めていた。ある夜、あたりが昼のように明るくなり、近くの寺の住職が戸の隙間からのぞくと、光っていたのは神社の森で、杉の梢にコウノトリが二羽とまっていた。やがて何かが落ちる音がして鳥は飛び去り、闇に戻った。翌朝住職が杉の根元へ行くと、金の幣束が落ちていた。吉事の前触れとして社を改築して幣束を納め、この辺りを加納と名づけ、寺も光照寺と改めた。杉の根元に湧く清水で沸かした湯はどんな病も治すと評判になり、遠方からも参詣者が集まった。清水は御神水の井戸として今も残るという。
原典より
翌朝、ふしぎに思った住職は、その杉の木の所に行って見ると、金の幣束(神に捧げる物)が落ちていました。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。