島じゅうにいた五島の河太郎
どんな伝承か
五島では、島じゅうのどこにでも河童がいると語られてきた。ほんの小さな流れにも棲みついていたという。ここで河太郎と呼ばれるものは、尻の玉を抜くとか相撲を挑むといった点では本土の河童と変わらないが、それに加えて人にとり憑くという性質をもつと伝えられる。島には野生の狐や狸がいないため、狐に憑かれたとか狸に化かされたという類の話は耳にしないが、そのぶん河太郎の悪戯を語る話が島のいたるところに残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。