天狗のつつまれと羽音
どんな伝承か
天狗の正体を見た者はいないが、天狗は確かにいると信じられてきた。天狗のつつまれ、天狗かくしといい、天狗の太鼓を打つ音を聞いた、羽音を聞いたという者がいた。この地方の天狗は、鞍馬山で義経に剣術を教えた天狗とも物語の天狗とも違い、天人でも仙人でもなく、正体は分からないが空を飛び翔け、太鼓を持つものと想像されていた。目に見えないカマイタチが人の肌を切り裂くとも信じられた。天狗の存在は雷とともに子供を躾ける役割を果たし、天狗様が来るぞと言えば泣く子も泣き止んだ。世の中が変わって天狗も住めなくなったのか、今はその話も聞かないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。