岩戸観音の大蛇とお坊さん
どんな伝承か
昔、ある僧に心を寄せた大蛇が、その僧を追って島原半島から岩戸へやって来た。川をさかのぼった大蛇は岩戸観音近くの堤にすみつき、十七、八の美しい娘の姿で毎夜僧のもとへ通った。小僧がいくら戸締まりをしても娘はいつの間にか中にいて、板の間にしか上がらず、帰ったあとの板は湿っていたという。やがて身ごもった娘は、自分は大蛇で、子を産むため島原半島の池へ帰ると僧の枕元で告げ、形見に鱗を三枚残して去った。その鱗は近年まで岩戸観音に伝わっていたという。のちに島原の寺へ移った僧のもとへ、片目の悪い娘が男の子を連れて現れ、子を託して姿を消した。
原典より
そのうろこは近年まで岩戸観音に残っていたという。—— 河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史)
『河内町史 民俗編――昔話・伝説』は、河内町の町史の民俗編のうち、子守歌と昔話・伝説を収めた部分である。伝承者の名を添えた子守歌二編と、昔話と伝説の違いを述べた前置きに続き、継子譚・異類婚姻譚・和尚と小僧・愚か婿など全国に分布する型の昔話と、岩戸の観音、金峰山と飯田山、小野小町、弘法大師にまつわる土地の伝説を、第一話から第三十八話まで番号を振って並べる。多くの話には話型の名や類話の広がりを短く添える。