薬師寺の大銀杏に立つ幽霊
どんな伝承か
田島の本町にある薬師寺の境内には大きな銀杏の木があり、田島の大火のときにもこれだけは焼け残った。ひところ、この銀杏に幽霊が出るという噂が町中に広まったことがある。そこで消防団員らが幾晩も見張っていたが、ついにそれらしいものは出なかった。季節は秋だったかで、それになにかの光が当たって、そういう風に見えたのであろうということでおしまいになった。幽霊はこの世に執念を残したり人に怨恨を抱いたりした死者の霊とされ、その姿には足がなく、出る時刻は丑満時と決まっているという。
原典より
もう一昔にもなろうか、当時この銀杏に幽霊が出るという噂が町中に広まった。—— 田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史)
『田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説』は、会津の田島町の町史のうち民俗を扱う巻の、伝説を論じた節である。針生・糸沢・金井沢・折橋などに伝わる岩魚の棲まない沢、ダイタンボウの足跡、弘法清水、竜燈、天狗隠し、河童駒引き、アズキトギなどの伝説を、土地の言葉を交えた語りで載せる。自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分けて動物・地形・地名・人物・幽霊・妖怪変化などの項を立て、各話のあとに伝説の型や会津の類例を論じる。