社寺を通せば買える狐持ち田
どんな伝承か
狐持ちの家が手放した田畑は買い手がつきにくかったが、簸川地方では抜け道のような俗信があった。そうした田は、いったん宮か寺に寄進したことにして、社寺からあらためて買えばよいとか、寺やヨコヤ(社家)なら狐持ち田を買っても心配はないとかいうのである。そのため、この辺りの社家の中には、そうして田地を安く手に入れた家も少なくないという。ただこうした田畑をめぐる習わしは、戦後の農地解放でかなり崩れてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。