老人に見せられた犬神の正体はヂネズミ
どんな伝承か
犬神は伝承では犬だとされるが、実際の形は鼠に近いという伝えが多い。高知の桂井和雄は、この犬神を実際に見たと報告している。所は土佐郡土佐山村弘瀬で、一人の老人から、土地で犬神と呼んでいるものを見せてもらったところ、身の長さは約五センチばかり、形は鼠に似て頭部がはなはだ大きく、鼻端は長く尖って長い髭があり、一見して小もぐらとでもいいたいものであった。後日、高知女子大の田中亮博士のもとでも同じものが同じ呼称で呼ばれており、それは和名ヂネズミであったという。
原典より
所は土佐郡土佐山村弘瀬で、一老人から土地で犬神と呼んでいるものを見せてもらったところ、身長は約五センチばかりの、形、鼠に似て、頭部甚だ大きく、…—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。