狼さまにお産をさせるオンザキさまの大祭
どんな伝承か
岡山県阿哲郡豊永村の比売坂鐘乳穴神社では、奥の院に鎮まる狼をオンザキさまと呼んで信仰している。その信仰は播州や山陰にまで及び、信者はかならず二人連れでオンザキさまを迎えに行き、自宅の外に小さな宮を建ててまつる。一年がたつと、十二月十三日から三日間行われる大祭に、その宮を背負って本社へ参り、狼さまにお産をさせ、今度は生まれた子を背負って帰るのだという。四国でオンザキさまと呼ぶミサキ神の言葉が、岡山の側にもある例として挙げられている。
原典より
そして一年たつと、十二月十三日から三日間の大祭には、その小宮を背負って本社へ参り、狼さまにお産をさせ、今度はそのお子を背負って帰るという(岡山民俗研究の概要)。—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。