金屋子神が連れて降りたオナリのオマツ
どんな伝承か
伯耆の東伯郡の山間部などでは、田植えの期間中に炊事を受け持つ役をオナリと呼ぶ。著者によれば、オナリはもとはただの炊事係ではなく、田の神に神供をささげる役目を負った者であった。そのことは田植え唄の文句からもうかがえるうえ、火の神である金屋子神が天から降りてきたとき、十五歳になるオマツというオナリをひとりだけ連れて降りたという言い伝えがあることからも推し量れるという。
原典より
なおこの地方では田植の期間中の炊事役をオナリというが、このオナリも元来は単なる炊事役ではなく、実は田の神への神供を奉る者であったのであり、…—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。