桶屋勲功記――家康を肥桶に隠す
どんな伝承か
真鶴の五味姓の由来と同じ類話が川崎市にもあり、徳川家康を肥桶にかくまってやったという話が伝わる。小島瓔礼氏はこれを「桶屋勲功記」(民俗三十七号)として考証している。家康の敗走譚は平塚の升水氏の由来としても語り伝えられ、敵に追われた家康が新宿部落の路傍の民家に駆込んで水を所望し、主人が有り合せの桝に水を入れて差出すと、家康は一息に呑み干して「これから其方は升水と名のれよ」といい捨てて馳せ去ったという。川崎市久地でも、道ばたで桶を作っていた桶屋に助けられた話が残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄による講述「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げ、藤沢・津久井・平塚などの昔話や笑話、世間話を紹介する。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなり、昔話は本格昔話・派生昔話・笑話の別に沿って類話を並べる。