津島神社の田祭り神事
どんな伝承か
津島神社には田祭りと呼ばれる古い神事が伝わる。著者は宮司に招かれ、南山大学の沼沢喜市学長ら三人とともに、ある寒い日の午後これを拝観した。年老いた百姓の男がたった一人、神殿と拝殿のあいだの土間を行きつ戻りつしながら、わずかな農具を使ってさまざまな田作りの所作を演じ、神への祈りや感謝を素朴な身ぶりで表していた。人に見せる芸能となった神楽とは違う、ひなびた所作がかえって深い感銘を与えたという。
原典より
あの神事で、一人の年取った百姓男が神殿と拝殿の中間土間を左右に往きつ戻りつしながら、さまざまの農耕所作を演じて、その間、神に対し、或いは祈願し或いは感謝する心情を、素朴な形式で表現するのを私たちは見た。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。