津島天王のだんじり討伝説
どんな伝承か
津島の車楽祭は東海道で第一と評された華やかな祭で、六月十四日に十一艘の船を飾って神輿に供奉する。これをだんじりと呼ぶのは珍しいとされてきた。浪合記によれば、この儀式は永享年間に始まり、いわゆる四家七名字の祖先たちが天王の神託を受け、良王君に仇をなす佐屋の台尻大隅守が祭見物に船で渡ってくるのを待ち受け、十艘の飾り船で取り巻いて一族を残らず討ち取った。以来この日の祭には十一艘を出し、後世までだんじり討ちと囃せという良王の命に従って囃子が変わらないのだという。柳田は台尻大隅守を越前や日向大隅の弥五郎と同じ存在と見て、殺伐な昔語りが祭の背後に潜むと述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。