猪にさらわれた若い狩人
どんな伝承か
秦野市の山谷で聞かれた話。昔、狩人が三人で山へ行ったところ猪が出てきた。いちばん若い狩人がまん中に、年をとった者が両端にいたところ、まん中にいた若者が猪にさらわれてしまった。仲間は幾日も幾日も待ったが、撃とうとすると猪の上に人間が乗っているので撃つことができない。やがて髪がこんなに長くなってぼうぼうになった姿で、猪とどうして離れたのかも分からぬまま若者は戻ってきた。しかしそのときにはもう、人間の言葉が分からなくなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。