峠に転がり出るカンス転がしの狸
どんな伝承か
茶をたてるときの茶釜を、このあたりではカンスと言う。狸がたぶん手と足とを丸めてしまって、人が通ると、ころころころっと転がって来て足元にぶつかる。驚いて持っていたものを落とすと、それを失敬してごちそうになってしまうのだという。これをカンス転がしと呼ぶ。峠では、夕方になるとカンスッコロガシが出るぞと言い、坂をカンスがガランゴロンガランゴロンと音を立てて転がっていくものだと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。