酒匂川の堤防に立った婚約者の人柱
どんな伝承か
山北の内山のあたりで、酒匂川の堤防が崩れて村人が難儀した。直しても直しても堤防が切られてしまうので、役人は七十歳以上とも七十五歳以上ともいう年寄りを全部集め、その意見を聞いて堤の作り方を研究した。そのとき、家老の娘と、その婿になる上級武士との二人が、結婚を間近に控えていながら、皆がそれほど困っているのなら自分たちが人柱に立とうと申し出て、人柱になったという。川のふちには、その二人を伝える碑があるそうだと語られる。秦野市宿矢名の人が語り伝えていた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。