大蛇を噛み殺した猫を祀る猫明神
どんな伝承か
五十騎町の侍の家で、奥方はたいそう猫を可愛がっていた。ところがその猫は、奥方が厠へ立つたびに必ずついて来る。気味悪く思って主人に話すと、猫は魔物だから何かあるに違いないと言う。そのうち奥方は体を壊し、血の気の失せる病になった。その日も厠へついて来た猫の首を、とうとう斬り落とした。すると首はすっと厠の天井へ飛び、何かともみ合ったのち、どさりと落ちてきた。見ると猫の口は大蛇を噛んでいた。蛇が奥方の血を吸っていたと知れて、人々は猫を祀り猫明神とした。今も猫が子を産むと猫明神へ連れて行けば、必ずもらい手が見つかるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。