大晦日の旅僧が残した風の神
どんな伝承か
表町に祀られる風の神は、夏井家が会津から上杉景勝に従って米沢へ移った折に、一緒に運んできた神だと伝わる。その夏井家に残る話。大晦日の夜、吹雪にまぎれて戸を叩く者があり、雪まみれの僧が転がり込んできた。家臣と押し問答をしているのを聞きつけた主人は、年の瀬に訪ねてくるのは福の神だろうと考えて招き入れ、山海の珍味を並べてもてなす。明けて元旦、身なりを正した僧は自分こそ風の神だと名乗り、もてなしへの礼に厄病神を寄せつけぬと約し、梵字の呪文を書き残して姿を消したという。今も風邪よけの参詣が絶えず、近在の農家は二百十日の風祭りに護符を受けて田の風害除けを祈る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。