死相を告げられた二人の武士
どんな伝承か
文化年間、久保田の佐竹家に原田庄左衛門と岡田久八という侍がいた。原田には妻のフミがあり、岡田は独り身。二人はいつも連れ立って歩き、家中でも仲の良さが評判で、男色の噂まで立った。ある日、城から下がる道で旅の僧に呼び止められ、二人とも死相が出ている、命は明晩の丑満刻までだと告げられる。原田は屋敷へ帰るなり妻に死ぬと言い渡し、親類を集めて別れの宴を張り、告げられた刻限に息を引き取った。岡田のほうは別れを言う相手もなく、有り金を持って茶屋遊びに出てしまい、刻限を過ぎても何ごともなく八十近くまで生きた。のちにフミは岡田の妻になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。