行燈の油を嘗め尽くす赤児
どんな伝承か
これも江戸の中頃の話である。赤児を連れた見知らぬ女が、道に迷ったといって庄屋の家に泊まった。夜半、赤児は布団から這い出し、行燈の油を一滴残さず嘗めてしまった。翌朝、女は礼を述べて立ち去り、庄屋の家では油がなくなったのを訝しんだが、あの赤児が油嘗赤児であるとは知らなかった。女は街道の松の木の下で赤児を下ろすと、赤児は手毬のようにぽんぽんと弾んで飛び回って遊んだ。のち、久保田、いまの秋田の城下で油問屋の佐勘が火事になり、城下は大騒ぎとなった。その野次馬に混じって油嘗赤児を背負った女も見物に来ており、女がもったいないと呟くと、赤児は笑って、おれは半分は嘗めているからいい、といったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承