弁天と義経の琵琶石
どんな伝承か
九艘泊の神社の下には、琵琶石と呼ばれる岩があった。この岩の上に弁天様が腰かけて琵琶を弾いたとも、義経が対岸の大島へ渡ろうとして嵐に阻まれ留まっていたあいだ、天候の回復を祈って琵琶を弾いたとも伝えられる。別の言い伝えでは、片貝に武士たちの根拠地があり、山ひとつ越えた九艘泊に連絡役の武士が住んでいて、仲間からの知らせを待ちながら、追手の目を逃れるために琵琶を弾いていたのだという。この岩は今では取り壊され、神社下の駐車場に立つ琵琶の石塔と、ビワシの家という家号にその面影を残すだけである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。