一粒ずつ拾い続ける果てなし話
どんな伝承か
横道で会った一人の老媼が、子どもの頃の思い出として語った話。煙草の葉のしをしながら父親が語る「昔」は、駄賃つけ馬が一駄二俵の米俵を両方に下げて行くと、途中で何かに驚いて暴れ、米がこぼれてしまうというもの。その先に良い場面が出るかと待っていると、「一粒拾っては入れ」「一粒拾っては入れ」と一晩中それだけを繰り返す。子どもたちは「のさねぇ」と言って誰も相手にしなくなり、姉が語る「昔」は面白く、続きを聞きたさに葉のしを手伝ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。