狐に教えられて汲んだ命の泉
どんな伝承か
昔、一人の爺のもとに太郎・次郎・三郎の三人の男の子がいた。爺が病んで死にそうになり、神に伺うと、海を渡った向こうの山奥に命の泉があり、その水を飲ませれば治るという。太郎も次郎も、山の入口で声をかけた狐に生意気な口をきいたため、藪や山奥へ閉じ込められた。正直に事情を語った三郎は狐から焼飯と道筋を教えられ、大岩の獣をかわして門の中の泉の水を汲み、間一髪で外へ出た。帰りの舟で兄たちに水をすり換えられ、三郎は家を追い出されるが、最後には大尽の家に婿入りして安楽に暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。