命の泉を汲んだ末弟の三人兄弟譚
どんな伝承か
本編に「命の泉」と題された話は、三人兄弟譚に属する。爺の病に効くという命の泉の霊水を汲みに行くが、末弟だけがそれに成功する。ところが帰る途中で兄たちの奸計により瓶の水をすり換えられ、末弟は家から放逐されるが、最後には兄たちを退けて大尽の家に婿入りするという筋である。三人兄弟譚には盗人型に属する「ものいうふくべ」もあるが、この話はなら梨とり型によく似ており、さらに結末を発展させている。グリムの「命の水」とも共通点が多く、採集例の希れな話とされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。