バ塚の狐の嫁入り
どんな伝承か
草加市柿木町には狐の嫁入りの話がいくつも伝わり、それも塚に結びついて語られる。柿木地区の北方には、一五間ほどの間隔をおいてネ塚とバ塚という二つの塚があった。戦国時代、一人の侍が戦いに負けて娘を連れてこの地まで逃げて来たが、娘は病にかかって亡くなり、バ塚に埋められた。その後、秋になると時折、バ塚から念仏橋の方へ向かって進む狐の嫁入り行列が見られるようになった。それはいつも小雨のしょぼしょぼ降る日で、行列には提灯の明かりがちらちらと見えるが、それは狐たちの口から出る泡が光るのだといわれた。娘には将来を約束した恋人があり、嫁入りするはずであった無念が狐に乗り移るのだとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市が編んだ市史民俗編のうち、伝説の章である。柿木や青柳など市内各町の地名の由来、塚、毛長神社や弁才天などの神々、疣地蔵・火あぶり地蔵などの地蔵・薬師・観音、旅の僧、狐・むじな・狸・雷獣といった動物や妖怪の伝えを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の人からの聞き書きによって記す。地名起源から動物・妖怪まで九つの節に分け、聞き書きの話には町名と話者の頭文字・生年を添える。