松並木に注射する医者(狐に化かされる)
どんな伝承か
旧草加宿で代々医者をしている家の話。大正の終わりから昭和の初めにかけてのころ、その医者はよく狐に化かされたという。どこかへの往診の帰り、街道の松並木や神社の松の木の幹に、一生懸命注射をしていた。まだ自動車などのないころで往診は人力車であったが、ある夜、青柳から応診を頼まれて出かけ、その帰り、八条用水路の念仏橋まで来たところで化かされ、人力車を降りて近くの大木に注射していたともいう。夜明け近くになっても帰らないので家人が捜しに出たところ、人家のない道端の松の木に注射している医者と、膝当ての毛布を肥溜にかぶせて手をかざす車夫を見つけたとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史・自治体史(民俗))
『草加市史 民俗編』所収の伝説。埼玉県草加市に伝わる地名・塚・神社・地蔵・狐狸の伝説を採録する。