稲荷の前で相撲を取らされた父
どんな伝承か
語り手の父親が化かされたという話。あるとき、越谷の先の大沢にある御猟場に招かれ、そこで酒を振る舞われて帰ってきた。ずいぶん遅い帰りだったので家の者が事情を尋ねると、歩いて戻る途中、どこかの稲荷の前まで来たところで大きな坊主が出てきて、相撲を取ろうやと言う。仕方なく組み合ったが、いくら取っても負けてばかりで、とうとう嫌になって帰ってきたのだという。おおかた稲荷の狐にでも化かされたのだろうということになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市が編んだ市史民俗編のうち、伝説の章である。柿木や青柳など市内各町の地名の由来、塚、毛長神社や弁才天などの神々、疣地蔵・火あぶり地蔵などの地蔵・薬師・観音、旅の僧、狐・むじな・狸・雷獣といった動物や妖怪の伝えを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の人からの聞き書きによって記す。地名起源から動物・妖怪まで九つの節に分け、聞き書きの話には町名と話者の頭文字・生年を添える。