田植え帰りに魚と油揚げを狙う狐
どんな伝承か
原町では、狐にだまされやすいのは田植えのころだと言った。とりわけ魚や油揚げを提げて、一人で夜道を歩けば必ずやられる。よその田植えを手伝いに行き、酒を振る舞われ、魚や油揚げを土産にもらって帰る道で化かされたという話はよく聞かれた。なかなか帰らないので家の者が迎えに行くと、肥溜めに入って風呂につかった気分でいたり、牡丹餅だと言って馬糞を集めていたりする。むろん持っていた魚も油揚げも失せている。夜に家を出るときは、化かされぬようにマッチやツケギを袂へ入れて行くとよいとされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市が編んだ市史民俗編のうち、伝説の章である。柿木や青柳など市内各町の地名の由来、塚、毛長神社や弁才天などの神々、疣地蔵・火あぶり地蔵などの地蔵・薬師・観音、旅の僧、狐・むじな・狸・雷獣といった動物や妖怪の伝えを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の人からの聞き書きによって記す。地名起源から動物・妖怪まで九つの節に分け、聞き書きの話には町名と話者の頭文字・生年を添える。