葦をなぎ倒した五条川の大蛇
どんな伝承か
五条川には昔から大蛇が棲むといわれ、目撃したという人が近年まで町内にいた。『西春日井郡誌』も、山之腰から新川の落口までの間に胴回り二尺五寸ほどの大蛇がいると伝える。鍛治ヶ一色の男もその一人である。春先の雨上がりに堤でうなぎを釣っていると、いきなり葦をかき分ける音がして水面が波立った。目を凝らすと川の中に大蛇がいる。男は驚いて家へ逃げ帰った。翌朝おそるおそる堤へ行ってみると、臼を横にしたほどの幅で葦がなぎ倒されていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史)
『西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異』は、西春町が編んだ町史の民俗編である。九之坪・岡・沖村・石橋など町内の各ムラに残る御嶽山や塚、堂、小祠、石塔、家の神、祈禱師、祈願と参詣、霊威と祟り、狐や狸の怪異と憑きものを、聞き書きと『徇行記』や村絵図などの記録から記す。霊と神、祈願と参詣、霊威と怪異の三節に続けて、第十二章の伝説の節を大字ごとの十九項に分けて並べ、五条川の大蛇の目撃談で結ぶ。