晩の針仕事で客足が止まる
どんな伝承か
第三章「縁起、言い習わし集」の禁忌のうち、衣服に関するものとして「客商賣の家は晩針仕事をすれば針で客足が止る」が青森県の漁村から報告されている。同じ項には、朝出るときに出針を使わない(北海道ほか多数)、男が朝に針を持つとその日何か悪いことがある(鳥取)、夜の紐結びを嫌う(秋田・岩手)などが並び、針と夜の仕事を忌む言い習わしが広く分布していたことがわかる。針が客足を「止める」という言葉のうえの連想が禁忌を支えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。