盆踊りの夜に堤防で追ってきた火の玉
どんな伝承か
話者が二十歳ほどのころ、友人のぶっちゃんと横手の盆踊りへ行こうと、囃子の音を頼りに出かけた。ところが横手に着いても踊りはなく、中島かと行ってみてもない。それなら板井の方だろうと歩き出し、中島から板井へ向かう堤防の南あたりまで来たとき、ぶっちゃんに後ろを見ろと言われた。振り返ると、自分の背後に火の玉がついてきていた。二人は夢中で板井の方へ駆け出し、二町ほど走ってようやく振り切った。来た道を戻る気にはなれず、倉賀野へ出て汽車に乗り、高崎まで逃げ帰ったという。
原典より
うしろを見たら、おれのうしろに火の玉がくっついていた。—— 高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書)
『高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話』は、『群馬県民俗調査報告書』第二十集『高崎市東部地区の民俗』のうち、口頭伝承の章である。榛名湖に入って蛇となった木部姫、弘法大師の七つ井戸、慈眼寺近くの餓鬼坂、オサキ使いの家などの伝説と、うばすて山や和尚と小僧、火の玉や死の予兆の体験などを、話者の地区名を添えて収める。伝説・昔話・命名・諺の項に分け、村の姓やあだな、農事や天気にかかわる諺も採録している。