泰澄大師が授けた般若石と地蔵
どんな伝承か
養老二年のころ、泰澄大師が諸国をめぐって白鬼女の地を通ると、重い病に苦しむ女がいた。大師の徳を慕っていた夫が治療を願うと、大師は一つの石を与えて般若石と名づけ、水を注いで飲めばどんな病も治り、患った所に載せてもよいと教えた。そのとおりにすると病はたちまち治り、以後この石で癒えた者は数え切れないという。のちに大師が再び通った際に女が礼を述べると、大師は白鬼女の名と自ら刻んだ地蔵を授け、子孫の繁栄と来世の成仏を約した。女は灯明を絶やさず信心し、村も栄えた。子孫はのちに粗末にするのを恐れて別に石像を刻んで村に置き、本尊と般若石は南光院に預けたという。
原典より
昔、養老二年のころ、泰澄大師が諸国遍歴の折、この白鬼女に大病を患っている女があった。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。