分水の人柱となった五郎丸の十兵衛
どんな伝承か
五郎丸の集落の南端に分関という所があり、用水路が四分と六分に分かれる分岐点がある。年代はわからないが、ある日照りの年、下流の長泉寺・新出・上河端・水落の農民と、上流の五郎丸・東鯖江の農民とのあいだで水争いが起きた。数を頼む下流側が引かず、今にも血を見る事態となったとき、五郎丸の十兵衛という義侠心の強い男が裸になって分岐点に仰向けに寝ころび、殺すなら殺せと叫んで堰の人柱となり命を落とした。これが役所の裁きとなり、石高に応じて下流へ六分、上流へ四分の幅で分水することが決まった。五郎丸では大きな石地蔵を建てて十兵衛を祀り、今も盆には掃除して花を供えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。