飴を買う母の幽霊と子育ての掛け軸
どんな伝承か
水落のある妊婦が病で亡くなり、墓に葬られた。数日たった晩、近くの菓子屋へ女が一文銭を持って飴を買いに来た。店の者が見ると先日死んだ嫁によく似ている。女は次の晩も、その次の晩も一文銭で飴を買いに来るので、不思議に思った店の者が後をつけると、水落の法華寺の裏の墓で姿が消えた。驚いて家の者に知らせ、墓を掘ってみると、棺桶の中で男の子が生まれていた。この子はのちに成人して母の菩提を弔うため僧となり、母の姿を描いた。これが幽霊の掛け軸で、身重の女が拝むと安産になるといって多くの人が参るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。