白狐が使いを願った天明神社
どんな伝承か
上河端では大飢饉のとき、天明神社の御神体をヒエ三斗と引き換えて飢えをしのいだ。その御神体は織田の剣神社に納まっているという。祀るものを失った氏子たちは新たに御神体を造ることにし、境内で手ごろな石板を見つけて中道院の住職に彫刻を頼んだ。住職が清水で三週間清め、いざ彫ろうとすると白いキツネが二匹現れ、石板の上に座って動かない。理由を問うと、この神の使いにしてほしいと言い、承知すると姿を消した。やがて石板には天神が彫られ、二匹は神の使いとされた。以後この地ではキツネや妖怪に化かされることもなくなり、穴田川の橋は狐橋と名づけられたという。
原典より
昔、上河端では大飢きんの際に、天明神社の御神体をヒエ三斗と交換して飢えをしのいだことがある。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。