嵐に向かって合掌した川崎の地蔵
どんな伝承か
鯖江市下野田町の東北端、旧村道のかたわらに大きな石の地蔵があり、人呼んで川崎のお地蔵さんという。明治より前のある年の秋、辰巳風の台風が襲って来た。人々はあまりの暴風に恐れて外にも出られず、わが家を守るのに懸命であった。ようやく静まって外へ出てみると、地蔵のお堂が屋根もろとも土台木から吹き飛ばされ、前の小川を越えて田んぼの中に転がっていた。ところが地蔵は転がり落ちながらも、風の吹いてくる辰巳の方を向き、正座合掌の姿で暴風雨にさらされていた。村人は住民の安泰を祈っておられたのだと感激し、堂を修理してねんごろに供養したという。
原典より
下野田町の東北端、旧村道のかたわらに大きな石の地蔵がある。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。