二人の夢が導いた観音の帰還
どんな伝承か
上戸口と足羽町の境にそびえる観音が岳の頂には小さな堂があり、九寸ほどの観音像が納められていたが、いつしか盗み去られていた。ある夜、正源寺の住職の夢に観音が現れ、盗人に持ち出されて福井の古道具屋の店先に並べられている、早く寺へ帰りたいので明日必ず迎えに来いと告げた。翌朝、住職が坂を越えて福井へ向かい、上文珠村を出たあたりで箱を背負った男に出会う。男は道具屋の主で、昨夜この観音が夢枕に立ち上戸口の正源寺へ帰りたいと言ったので届けに行く途中だと語った。二人は互いの夢を語り合って驚いたという。像は今も正源寺に安置されている。
原典より
上戸口と足羽町の境に観音が岳という山がある。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。