妙好人四郎左衛門の大根畑
どんな伝承か
能登の四郎左衛門の大根畑へ在所の若い衆が入り、初めは十五、六把の大根を盗んだ。それを見ていた四郎左衛門は手を合わせて拝み、「ようこそ前世の償いをしてくれた」と言った。若い衆は盗みが少なかったから怒らないのだと思い、今度こそ怒らせようと一畑まるごと盗んでしまった。ところが四郎左衛門はいっそう手を合わせ、「ようこそ償いができた」と喜んだ。それを聞いた若い衆は、これはただの人ではないと言って、それから後は崇めたという。何をされても誰にも御陰さまを大事にする、京の本山にまで聞こえた妙好人であったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。